いちいち考えるのって、めんどいよねー

昔、イスラム圏に国際援助の仕事してる人とお話ししたときに、「イスラム国家の女性って、日本人が思ってるほど不自由ってわけじゃないですよ」といわれて、ちょっと意外だった。だって、宗教的な縛りがあって、自由に行動できないと思ってたから。じゃあ、なんで女性が不自由じゃないと感じたかというと、「やってはいけないこと」がきっちりしてるので、できることしかしなくていいことになってるからだという。
たとえば、日本女性だと出産後も育児して、家事して、買い物行ってなどと大忙しだが、出産後は家事をしちゃいけない期間があるし、買い物は男性の仕事だし、てなわけで、けっこうのんびりできてるそうだ。しかもその人の観察によれば、ややこしいことやめんどくさいことはおおむね「これは女がやっちゃいけないことだから」ということで、男性が請け負ってるらしい。「先進国の女性の方がよっぽど大変だよ」という話。
まあ、その人が接した女性たちがたまたま図々しい方々ばかりだったという可能性もあるけどさ。合理的な根拠はないけど(昔はあったのかもしれんけど)、これは規範だからって頭ごなしに決まってることしかしないってのは、頭使わんで済む分だけ楽チンなのかもな。もちろん、なぜ男性には許されて女性には許されていないのか?(またはその逆)と考える人にとっちゃ、耐えがたい社会かもしれんね。あと、規範にのっていないようなイレギュラーが起きた時、全然応用が利かない社会かもね。
昨日の話の続きだけど、近頃科学の基礎にまでに否定的な態度に共感する人が増えてるようなのは、「情報を集め、分析して、判断を下す」という合理主義に疲れた人が増えたのかなーなんて思ったり。とりあえず「良い」あるいは「正しい」とされる規範に従ってればよいというのはお気楽だけど、進歩はないよな。
それと関連して、教育を語る時に「規範意識の徹底」みたいな論調をよく見るけど、これと「科学技術立国を目指す」って矛盾しないかね?「いいものはいい」に疑問を持たない人をたくさん育てたら、「今あるもので十分いいんだから、新しい発見はいらない」っていう人も増えないかな。
なんつうか、いわゆる「社会規範」が厳しい国ほど、科学の発展が遅れてるのは偶然じゃない気がしませんか?