せっかく文字起こしがあるなら

再軍備化する日本−NYTの動画 - Stiffmuscleの日記
こちらでNYTのビデオの文字起こしができていることを知り、NYT制作ドキュメンタリービデオ「日本再武装」スクリプト全文公開 : 静かなる革命2009で拝見しました。
せっかくだから日本語に。

第1章:専守防衛の見直し
外務副報道官 谷口智彦:「北朝鮮核兵器の開発を公言しており、そのミサイルは日本列島を標的としていることが明らかとなっている。さらに、中国の軍事拡張が事態に揺さぶりをかけている」

衆議院議員 加藤紘一: 「政治的、国際的、軍事的に中国は拡張している。我々は中国に対し独立を保たねばならない」

ナレーション:第二次世界大戦の敗戦以来、日本は平和国家であった。軍事的な攻撃を放棄し、軍備を自衛にとどめた。60年以上前の終戦以来、日本の軍人が戦死したことも、戦争で殺害をしたことがない。
冷戦が終わり、中国や北朝鮮との紛争の脅威が高まるにつれて、日本は平和主義を捨て再軍備を目指している。
プルトニウム爆弾の製造設備を停止すると合意した北朝鮮は、すでに少数の核兵器を開発したとみなされ、依然として脅威である。

東京都知事 石原慎太郎:「日本は自衛のために独自の判断が必要だ。そのためには多くの人が恐れる核兵器の入手に向かう可能性がある」

ナレーション:この変化は、日本を消極的な戦争法制から遠ざけようとする保守派の運動の一部である。右翼政治家は日本の軍国時代を賛美し、帝国軍が犯した犯罪を覆い隠すために過去の歴史を書き換えようとしている。
その目的は、日本人に国に対する誇りを植え付け、日本が世界に果たす役割を大きくすることである。
こうした変化は、日本の軍事占領下で悲惨な目にあった近隣のアジア諸国を、日本があの激しい帝国主義に舞い戻るのではないかという不安におとしいれている。

広島市立大学教授 田中利幸: 「政治家が誤った方向へ進めば、ナショナリズムが盛り上がるだろう。もし軍国主義と一緒になれば、我々はどこへ行くかわからない。中国を攻撃するかもしれない。」

ナレーション:シマモトマサヤ氏は、日本でもっとも大きな右翼団体の一員である。彼のグループは、毎週東京の路上でナショナリズムを吹聴している。

(シマモトマサヤ氏は日本語で)

右翼活動家 シマモトマサヤ:日本の憲法は世界で最もばかげたものだ。陸海空の戦力の保持を禁止し、攻撃の権利を奪っている」

ナレーション:右翼のお題目の最優先課題は、日本の戦争犯罪の防止のために第二次大戦の終わりに米軍に押し付けられた、憲法9条の改定である。9条の元で、日本はその領土の外で活動できない自衛隊に限られている。

シマモトマサヤ:「我々は9条を廃止し、自衛隊を国民の生命・自由・財産を守る真の日本軍にしなければならない。」

ナレーション: これは日本でますます力を得ているメッセージである。日本は戦争の廃墟から立ち上がり、世界第2の経済大国になった。豊かさを得た日本は自分探しをしている。おそらくは軍事的な力として、国際問題により大きな役割を果たし、中国やインドが成長する中でその経済的地位を維持したいと考えている。

田中利幸: 「中国はもうすぐアジアで最も強大な国になるだろう。それはもちろん、日本の政治家−特に右翼政治家のプライドを傷つけ、彼らの軍事力増強への欲望を刺激するだろう」

ナレーション:憲法改正を目指す役割を担っているのは安倍晋三首相であり、彼の政府は9条の廃止に向けて動いている。

谷口智彦: 「なぜ安倍首相の年代が憲法改正に意欲的かというと、それは日本が成熟し、米国とともに世界を管理していくことでよい方向に変えていけるからである」

石原慎太郎: 「日本は軍備を持つべきであり、ある程度は現在でも有している。しかしそれは完全なものにならなければならない。われわれは経済的・技術的な力を持っている。われわれはアメリカの手下ではない。」

ナレーション: 最近の世論調査では、回答者のわずか3分の1が9条改正に好意的であった。憲法改正に批判的な人々は、それは右翼政治家が高い失業率や犯罪増加への不安などの国内問題から目をそらせるためだという。

加藤紘一: 「城の中の一体感は敵の攻撃を受けると高まる。だから、人々を結束させるには敵を作ることだ」

沖縄県知事 参議院議員 太田昌秀:  「憲法が変えられたら、多くの恐ろしいことがおきる恐れがある。より多くの兵士を求めて、昔のように徴兵令が作られるかもしれない。私が今心配しているのはこのことだ」

ナレーション: 第二次大戦の特攻パイロットであったマツウラ・キイチ氏は、憲法改正を求める政治家は、彼やその仲間を死に追いやった軍事指導者と同じだと言う。

マツウラ・キイチ: 「愛国心を掲げ、9条を帰るべきだという政治家に言いたい。あなた方は国のために自殺し、犠牲になる覚悟はありますか?と」

ナレーション: 1945年、マツウラ氏は最初で最後の特攻のために沖縄に向かったが、悪天候のため基地に引き返さざるを得なかった。しかし、その他数百名の特攻隊員は死亡した。

マツウラ・キイチ: 「そう、私の仲間は死んだ。そして私は未来に対して責任を感じている。戦後すぐは、生活のためにその日その日を生きるしかなかった。70歳になったとき、私は自分のなすべきことが戦争被害者を尊ぶこと、そして彼らの死が無駄にしないためにどのように意味をもたせるかと言うことに気づいたのだ」

ナレーション: その憲法上の制約にもかかわらず、日本はすでに自衛隊をアジアでも有数の軍隊に作り上げた。日本の年間軍事予算は400億ドルであり、米に次ぐ世界第2である。
その軍備の規模と洗練度は英国に匹敵する。何百人もの日本の兵士がイラク南部やツナミ支援のために東南アジアに派兵された。

谷口智彦: 「過去10年を振り返ると、とくに9-11後、日本軍はイラク国民の幸せに貢献してきた。人々は『我々はよいことをしているし、我々の軍隊、すなわち自衛隊はもっと貢献できる』と言い始めている」

ナレーション: しかし、右翼政治家は平和活動よりさらに進もうとしている。日本の政治家は不可能を可能にしようと考え出している。
唯一の被爆国は、核兵器を手にすることを真剣に検討しているのだ。

太田昌秀: 「米国の軍事専門家や学者のなかには、2015年までに日本は核兵器をもつだろうと言うものもいる。なぜなら、2015年までには中国は兵士として戦える若者が大勢いるのに対して、日本は少数しかいないからだ」

田中利幸: 「右翼の立場から言うと、『核兵器で被害を受けたからこそ、我々も持たねばならない。』もし北朝鮮が我々にミサイルを発射するようなら、北朝鮮は世界中から攻撃を受けるだろう。だから、私は核兵器を持つことが北朝鮮や中国との問題解決になるとは思わない」

とりあえず、第1章は終わり。つづきはまた。exod-USさん、ありがとうございます