NYTビデオ第2章

いっきまーす!

第2章:歴史的健忘症
批判的な人たちは,右翼政治家が戦時の残虐行為をうやむやにするために戦争博物館をオープンし教科書を改訂することによって,過去の日本軍国主義を賛美していると言う.

被爆者、広島平和文化協会 タカハシアキヒロ: 「私の名前はタカハシアキヒロで、75歳です。日本の政治家はますます核兵器を支持するようになっています。生存者として、私はとても心配しています。日本は過去の戦争を反省すべきです」

広島平和記念館訪問者 エンドウタツヒロ: 「ここでおきたことに対する恐怖を感じました。こういうことを教えられてこなかった世代です。だから自分の目で見なくては。」

ナレーション: 広島は、各時代の「グランドゼロ」として世界中で知られている。1945年8月6日、米国はまさにここで世界初の原爆を落としたのだ。14万人を越える人々が死亡し、多くは即座に蒸発した。3日後、2発目が長崎に落とされ日本は降伏し、第2次大戦は終結した。
広島平和公園と記念館は原爆被害者を記念するためと、核兵器への抑止力となるために建てられた。日本人にとって、広島は日本のアジアでの帝国主義に対する反省としての役割も果たしてきた。

エンドウタツヒロ: 「一番衝撃的なのは原爆前の広島と直後を比べたジオラマです。このような悲惨なことが2度と世界が体験することがないよう、望みます。」

広島平和記念館副館長 クニシゲトシヒコ: 「ここは、恐怖の出来事に関心を集めるため、原爆の10年後に開館しました。我々は核兵器の廃絶を目指しています」

ナレーション: 何十年にもわたって、広島平和公園はしばしば学校見学で用いられてきた。若者にとって、自分の国がかつて重大な被害をもたらし、またもたらされたこの第2次大戦を評価するのは難しい。日本の教科書は、こうした課題について正直に取り扱っているとはいえない。

広島市立大学教授 田中利幸: 「1980年代半ばから、政府は学校で愛国心を高める政策を取り入れ始めた。さらに、公立学校で平和教育を抑える政策を取り入れた。たとえば、ここ広島では公立学校の先生は1年に数時間以上平和教育に使うことができない。こうした政策は、日本の平和憲法を変えて戦争のできる国に徐々に変えるための政府の計画の一部だ」

ナレーション: 広島から遠くない呉市では、平和を推進すると言う新たな記念館が開館し、多くの観光客や学生を集めている。しかしここには大きな違いがある。この大和博物館は米機によって沈没し、何千もの兵士が死亡した伝説的な軍艦を記念するものである。
72000トンの大和は、最大級の軍艦で帝国海軍の誇りだった。これは軍国主義を賛美し、国の誇りを高め過去の戦争犯罪の記憶を消し去ろうとする右翼活動の一部だとの批判もある。

田中利幸: 「戦艦大和博物館は、政府の長年にわたる愛国心教育とつながりがある。世界のリーダーとみなされるためには、日本を栄光あるものにしなければならないと考えているのだ」

ナレーション: 2005年の開館以来、大和博物館は人気の観光名所となった。

大和博物館にきたヤスイタカオ: 「戦争体験がないので、すばらしいです。知らないことを学ぶことができます」

大和博物館にきたマエダマサコ: 「大和に乗っていた若者は、どんなに絶望的な状況かも知らず日本が勝つと思っていました。今の日本の若者は、彼らに比べ軟弱で甘ったれています。彼らに学ぶべきです」

大和博物館にきたフカイタイセイ: 「大和のモデルはかっこいいし、展示もわかりやすい。大和を作った人はすごい。沈んじゃって残念です」

タカハシアキヒロ: 「呉の大和博物館だが、なぜあんなものを作ったのかわからない。若者がたくさん行っている。大和は戦争時代の遺物で、ただの廃墟だ。あの軍艦をなぜ取り上げたのかわからない」

ナレーション: なぜ日本人の多くが戦争のことをほとんど知らないか、これは政府公認の教科書がますます軍国主義的な過去の記述を消し去っているからだ、と言う批判がある。中国での「南京大虐殺」や日本軍の慰安婦制度などの犯罪は、書き換えられるか無視されるかである。

田中利幸: 「歴史を教わっていないため、戦争や平和について真剣に勉強する機会がない。これは危険なことだ。何も知らないと、政治家に<ほらこれが正しい考えだ>と言われると、ついていってしまう」

谷口智彦: 「自民党の保守政治家の中には、教科書の記述の一部の書き替えを主張するグループがある。しかし、安倍首相はただの国会議員ではない。彼は教科書の記述や著者について何か言う立場にはいない」

ナレーション: 日本はアジア諸国を侵略したのではなく、西洋列強から開放したと言う教科書まである。

太田昌秀: 「日米が戦争したと言うことすら知らない若者は、簡単に洗脳されてしまう。彼らが我々と同じ間違いを犯す恐れがある。我々年配者がそうだった」