外国人差別と男性差別のコンボはやめてください

ところで、3.11の震災から2年がたちました。いまだに30万人以上の人が避難生活を強いられているとのこと、心が痛みます。安倍首相には、ぜひこの状態から「日本を取り戻す」べく頑張っていただきたいところです。憲法改正とか言ってる場合じゃないですから。
ワタスも思わずブクマしたのですが、「ハーグ条約」加盟で国際結婚はどうなる? 弁護士に聞いてみた (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース 「ハーグ条約」加盟で国際結婚はどうなる? 弁護士に聞いてみた (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュースこの記事なんつうかひどいですよね。

ハーグ条約に加盟すると、母親が子を連れて日本に帰国すると、強制的に元の居住地に帰還を求められることになります。いわゆる『子のひきはがし』という状態になります。アメリカでは子の連れ去りは刑法上の誘拐罪になるので、母親がその後、合法的にアメリカに入国することは困難になりますから、母親にとっては非常に酷な状況におかれることになります。

したがって母親は、たとえDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けたとしても、離婚した後も、居住地を離れて子どもと過ごすことが困難になります。これは、日本国憲法上認められている『転居の自由』を侵害しているともいえます」

このように堀弁護士は、ハーグ条約の問題点を指摘する。

●「子どもの福祉」よりも「大人の権利」が優先する?

「日本の民法上、親権については『子の福祉』という観点から考えられてきました。ハーグ条約は、子の福祉を一応うたってはいますが、子の引きはがしという事 態や、その後の面会交流の困難さを考えると、子の福祉よりも、『親の子に対する権利』を主眼としたものと言わざるをえません」

まるで外国人夫が鬼のようではないですか。それに、DVだけが離婚の原因じゃないだろうし。日本がこの条約に加盟してないことで、日本人母親に「日本に帰りさえすればなんとかなる」という、連れ去りのインセンティブを与えてるともいえるわけで、そこが他の加盟国から問題視されとるんでは?
こちらに国際結婚破たん後の親権問題を扱っている米国人弁護士のJeremy D. Morley氏の論説があるんですが、条約の精神についての解説が大変参考になりましたよ。http://www.iaml.org/cms_media/files/the_hague_abduction_convention_and_human_rights_a_critique_of_the_neulinger_case_revised.pdf?static=1

The central tenet of the Hague Convention has always been that, while any custody determination must be based on an analysis of the child’s best interests, that issue should be decided by the courts of the country in the habitual residence from which the child was taken and not by the courts of the country to which a child was wrongfully removed or in which the child was wrongfully retained. The Hague Convention is a jurisdiction-selection treaty; a case brought pursuant to it does not determine the custody of the child but merely determines where that determination shall be made.
The reasons for the Convention are well known. The best way to deter international child abduction is to ensure that international child abduction is not rewarded. In particular, forum shopping in such cases should be discouraged. The best solution is to return abducted children promptly to their habitual residence whose courts are the most appropriate to determine the best interests of children.
Undoubtedly the Hague Convention adopted a “greater good” premise, meaning that it is intended to discourage international child abduction in general even if in any specific case it might perhaps be best for that particular child not to be returned. However, the drafters of the Convention recognized that a balance must be struck between the interest of children in general not to be wrongfully taken from their habitual residence and the need to protect individual children in specific, extreme and unusual cases. For this reason, while the Convention contains certain exceptions to the rule requiring a child’s prompt return to the habitual residence, they are carefully delineated, they are to be narrowly interpreted and even if they are established the courts nonetheless retain a discretion to order the child’s return.
States adopted the Convention because they agreed with this philosophy and they expected that their treaty partners would adhere to it. When the United States was considering whether to adopt the Hague Convention, the U.S. State Department explained to Congress that, “The Convention is premised upon the notion that the child should be promptly restored to his or her country of habitual residence so that a court there can examine the merits of the custody dispute and award custody in the child's best interests.” It specifically explained that the grave risk exception “was not intended to be used by defendants as a vehicle to litigate (or relitigate) the child's best interests.”

ハーグ条約の精神の根本は、親権の決定は子の福祉が最優先されなければならないのはもちろんのこと、その決定は連れ去られた国の裁判所ではなく、これまでの居住地の裁判所でなされるべきということにある。本条約は管轄選択の条約であり、これを基に起こされた訴えは子の親権を決定するわけではなく、どこで決定されるかを決めるだけである。
その理由はよく知られている通り、子供の国際的な連れ去りを防止するためにはこれが報われないものにする必要があるからである。とくに、このような例で法廷地漁りをやめさせることが重要である。最善策は、子をもとの居住地に速やかに戻し、居住地の裁判所が子の福祉を判断するにふさわしいとすることである。
ハーグ条約は、個別例では子が居住地ではなく連れ去られた国で生活する方がよい場合もあるとしても、一般的には連れ去りを防止するという「より大きな善」が優先されるという前提に立っているに違いない。しかし、起草者らは、子が居住地から連れ去られてはならないという一般的な善と、子の福祉が対立する極端なケースも想定していた。このため、例外規定が設けられているものの、慎重な線引きと厳格な適用がなされており、認められた場合においても裁判所は子の返還を命ずる裁量を有している。
加盟国がこの条約を批准した理由は、この条約の精神を理解し、かつすべての加盟国が順守するという前提に立っているからである。米国政府は議会に対し、「この条約は、連れ去られた子どもは速やかに居住地に返還され、居住地の裁判所こそが子の福祉を最優先した親権判断ができると前提している」と説明している。深刻な例外規定は、「子の福祉を理由に被告が訴えを起こす口実となってはならない」と説明している。

えーと、日本の場合はまず「外国人夫に有利なのではないか」という不信があり、かつ「居住地だった外国の裁判所は子の福祉を優先するわけない(母親の言い分を認めない)」から批准したくないっつう意見が蔓延しとるんではないかと。裏を返すと、日本の裁判所は「外国人夫に厳しく」、「日本人母親の言い分を認めて単独親権を出してくれる」から、日本に子どもを連れて逃げさえすればなんとかなるということになってるわけですね。自分たちが外国人に不利な取り扱いをしている現実があるから、自分もされるに違いないと。この条約、加盟国相互の信頼関係なきゃ成り立たないんですけど?加盟国の裁判所が「子の福祉」を優先した判断ができるとみなさないのは、「差別的」なんじゃないんですか?それと、子供は母親と一緒でないともれなく不幸なんですかね。父親と一緒にいなくても不幸じゃないってのは、「男性差別」だと思う。
いつまでもこの状態を放置してると、日本人母親の正統な里帰りが不信の目でみられるかもね。