気候変動懐疑論への科学者たちからの反論

米国国立科学アカデミー所属の225名の科学者たちが、昨今の懐疑論の隆盛に対して反論をサイエンス誌に載せたそうだ。ワタスは、気候変動について正確に理解ができてるとはほど遠い状態なんだけど、懐疑論者の多くが気象学とかの専門家じゃなくて、科学者でもほかの分野だったり、はては経済学者だったりするんで、いまいち信用ならんと思ってたんだ。ちょうど、歴史修正主義者が歴史学者でなかったりするようにね!それから、いくつかの間違いをあげつらって、全体を否定するとこもそっくりだよ!

せっかくだから、訳してみよう。Open letter: Climate change and the integrity of science | Environment | The Guardian

私たちは昨今の科学者への政治的攻撃、とりわけ気候学者への攻撃が増していることを深く憂慮しています。すべての市民は、いくつかの基本的な科学的真実を理解するべきです。科学的な結論にはいくばくかの不確実さが伴っています。科学は何かを絶対的に証明することはできません。もし科学者が絶対的な確信を得られるまで社会は行動を控えるべきだというなら、それは社会に何もするなと言っているに等しいことです。気候変動のように大きな破壊をもたらす可能性をもつ問題について何もしないことは、地球を危険にさらすことになります。
科学的な結論は、研究室での実験、自然観察、数学やコンピューターによるモデリングに裏付けられ、基本的な法則の理解に立って導かれます。すべての人間同様、科学者も誤りを犯しますが、科学的な手法はそれを見つけて正すように仕組まれています。この手法は本質的に相反するものです。科学者はこれまでの知識を支持することで業績をあげて認知されるだけではなく、一般的な理解が間違っていてもっと良い説明があることを証明することでも、賞賛されるのです。これはガリレオパスツールダーウィンアインシュタインらがなしたことです。いくつかの結論が十分に、じっくりと試され、疑問を持たれ、実験されて初めて、それらは「確立された理論」の地位を得て、しばしば「真実」として語られるのです。
たとえば、地球の年齢が約45億年(地球の誕生説)で、宇宙が140億年前の単独の出来事で誕生し(ビッグバン説)、今ある生物が過去のものから進化した(進化論)、などには、説得力のある科学的事実があります。これらが科学者の間で圧倒的に受け入れられている一方、これらが間違っていると証明できた人には栄誉が待っているのです。気候変動はこの領域に当てはまります。この社会や環境システムを脅かすような形で、人が気候を変えているという説得力のある、包括的な、一貫性のある客観的事実があるのです。
最近の懐疑論者による気候学や気候学者への攻撃は、特定の利害や独断に基づいておこなわれており、事実を満たすような代替理論の提供といったまじめな動機に基づいていません。国際気候変動委員会(IPCC)などの気候変動の科学的観測を行っている組織には、何千人もの科学者が膨大で包括的な論文を書いていて、当たり前ながらいくつかの誤りを犯しました。誤りは指摘されれば訂正されます。
しかし、直近の出来事で気候変動に関する根本的な結論が変わるようなものは、見つかっていません。

  1. 地球は、大気中の温室効果ガスの増加で温暖化しています。ワシントンで雪の多い冬だったからといって、この事実は変わりません。
  2. この100年ほどに起きた、温暖化ガス増加の原因の大半は人の活動、特に化石燃料の燃焼と森林破壊によるものです。
  3. 地球の気候変動には自然現象が常に関わっていますが、人がもたらす変化はそれらを上回り始めています。
  4. 地球温暖化は近代では考えられなかった速さで気候変動をもたらし、海面上昇や水循環に変化をもたらします。二酸化炭素濃度の上昇は海水の酸性度を増します。
  5. こうした複雑な気候変動が組み合わさり、沿岸の住民や都市、食料や水の供給、海水や淡水のエコシステム、森林、高山環境などなどを脅かします。

世界中の科学者の団体、国立の機関、そして個人が発言してきたように、いつも通りの習慣によって将来の世代が直面する事態について科学者は懸念しています。政治家そして一般の人々が、化石燃料の無制限な燃焼などの気候変動の原因にすぐに対処することを求めます。
また私たちは、あてこすりや罪悪感に根差した、科学者に対して刑事罰を求めるマッカーシー流の脅迫や、行動を起こさない理由探しをしている政治家による嫌がらせや、あからさまな嘘をまき散らすことをやめるように求めます。二つの選択肢があります。科学を無視して頭を砂に突っ込み運が良いことを期待するか、地球規模での気候変動の脅威を迅速かつ十分に減らすように、みんなのために行動するかです。洗練された有効な対処が可能であるのは幸いです。しかし、先延ばしはなりません。